広島高等裁判所岡山支部 昭和27年(う)79号 判決
原判決認定の本件各犯行が、同一の犯罪構成要件に各該当し、その犯行の場所、買入先、目的物、行為の形式、被害法益を同じうし、しかも六箇月という比較的短期間内に連続累行せられていることは、洵に所論の通りである。しかし右各犯行の間には数日ないし数十日の時間的間隔もあり、到底同一機会に相接続して行われたものとは認められず、かつそれぞれ独立可分の行為であつて、これをいわゆる接続犯に該るものとして一罪と解すことはできないし、またそれはそれぞれ独立の既遂行為で、これを以つていわゆる包括一罪、すなわち、一の行為の結果がこれと連続する他の同種の行為の結果を完全に包含する場合または連続する行為が相俟つて初めて客観的に一の既遂類型を充足する場合などに該当するものと認めることもできない。そしてさらにまた、これを構成要件上、当然に複数行為の予定せられている集合犯と解し一罪とすることのできないことは、たばこ専売法第六十六条、第七十一条の規定に照し明らかなところである。しかして連続犯に関する刑法第五十五条の明文の削除せられた今日、一般に叙上接続犯、包括一罪、集合犯及び刑法第五十四条の想像的数罪、牽連犯の外に、裁判上なお一罪として取扱うべき連続犯ないしは連続犯類似の一罪観念を認める余地ありや否やについては、疑いなきを得ないが、すくなくともたばこ専売法がその第七十八条において、罰金刑につき刑法第四十八条第二項の単一加重刑主義を排除し、併科主義を採用し以つて罰金刑の寡額との関係において、罰則を強化している趣旨に照して判断するときは連続犯の規定の削除せられた今日としては、たばこ専売事犯に関する限りこれを消極に解するを相当と信ずる。されば本件各行為を以つて以上いずれの一罪概念にも該当せず各独立の数罪として処罰した原判決は正当であつて、所論のように法令の適用を誤つたものということはできない。論旨は理由がない。